研究開発項目
本プロジェクトは,研究代表者がプロジェクト全体を統括するテーマとともに,以下に示す基盤技術開発及び統合に関するサブテーマ,応用技術開発に関するサブテーマ,大学合同実証実験サブテーマにより構成されます.
基盤ソフトウェア開発に関するサブテーマ
利用者コンテキストアウェアな次世代CMSプラットホームに関する研究開発
(1)クライアント層,(2)ポータル層,(3)アプリケーション層,(4)データ層のそれぞれにおいて利用者コンテキストアウェアな4層エンタープライズアーキテクチャを有する次世代CMS基盤ソフトウェア(以下,CMSプラットフォーム)を開発する.(1) クライアント層では,デスクトップ型PC,ノートブック型PCで利用可能なCMS専用クライアントソフトウェアを開発する.すなわち,入力デバイスについてはキーボード,マウス,マイクロホン,ビデオカメラなどのセンサ情報より利用者コンテキストを獲得し,表示デバイスについては,利用端末の表示装置に適応した情報提示を可能とする技術の研究開発を行う.(2) ポータル層では,CMSクライアントから送出される利用者コンテキストを統合するとともに,利用者コンテキストを考慮した情報提示に関する研究開発を行う.また,アプリケーション層の各種機能モジュールを統合し,協調的に利用可能にする.(3) アプリケーション層では,得られた利用者コンテキストを信号レベル・パタンレベル・論理レベルで解析し,その結果に基づいて教材・サービス内容を適応的に変更できる機能モジュールを開発する.また,講義コンテンツ教材を自動的に構造化する技術を調査研究し,教材の遍在化モジュールの基礎検討および試作を行う.(4) データ層では,メディア教育開発センター等が有する既存の教材用各種素材データベースに利用者コンテキストを付与したり蓄積する技術の研究開発を行う.いずれの層においても,応用技術に関するサブグループと連携し,それぞれで得られた成果を組み込む.また,NTTレゾナント㈱や北米の大学が開発しているオープンソースCMS等のソースコードを活用し効率的な開発を目指す.さらに,Java・XML等の標準技術,OKI・IMS等の標準規格,効率的な開発手法を導入し,オープンで持続的な開発が可能なシステムとする.構築したシステムの基本機能の有効性を確認するため,名古屋大学の全学教育を対象にした実証実験を行う.
大学合同実証実験サブテーマ
語学教育を対象とした大学合同による実証実験
主担当: 京都大学
今回開発するCMSの有用性を確認するために,実際の大学の授業で使用可能な教材を開発し,その運用を通じて実用面からの評価を実施する.大学によらず必要性・共通性の高い教材として,CALL(Computer-Assisted Language Learning)を利用した語学教育に焦点を当て,ユビキタス環境での利用を想定した教材を開発する.具体的には,大仏等の文化財をはじめとした各種の3次元モデルと,京都大学学術情報メディアセンターの保有するバーチャルスタジオを活用し,日本の文化財に関する会話スキットを中心としたマルチメディア教材を開発する.このような教材の利用には,会話スキット映像の配信が必要となるが,これをユビキタス環境で実現するには,利用者の多様なネットワーク環境に応じた映像圧縮を,教材の理解に必要な視聴覚情報を欠落させることなく実現する必要がある.そこで,映像圧縮の方法を,配信すべき映像の目的・内容とネットワークの帯域・輻輳状況の双方に応じて適応的に制御する技術を,CMSの機能モジュールの1つとして開発する.上で開発した教材は,名古屋大学,京都大学,大阪大学での実際の語学教育に利用し,各サブテーマで開発されたCMSや機能モジュールの有用性を評価することによって,各サブテーマにその結果をフィードバックする.
応用ソフトウェア開発に関するサブテーマ
利用者コンテキストアウェアなユーザインタフェースに関する研究開発
主担当: 大阪大学
バーチャルリアリティ教材の導入による,教材とのインタラクションの遍在化を主に担当する.具体的には,実物体からVR(Virtual Reality)コンテンツを獲得し,PCやモバイル環境において,教育・学習教材として役立てるためのCMSプラグインを開発する.ここでは,複数視点画像を備えたスタジオによりVRコンテンツを獲得し,多階層表現やアーティキュレーティッドオブジェクトなどに情報を変換し圧縮する技術,PCのCMSシステムの中で獲得されたVRコンテンツを提示するプラグイン,CMSシステムをPDAで表示可能にするよう変換するサーバ側プラグインの開発,圧縮されたVRコンテンツをPDAにおいてもリアルタイムにレンダリングする技術などが含まれる.4,5年度においては,設営されたスタジオにより教材を作成し,実証実験においてVRコンテンツや開発されたプラグインを改良し,その有効性を確かめる.